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ちゃんちゃんこについて

還暦は数え年で61歳(現在は満年齢で60歳)を迎えた時に行う長寿のお祝いの事であり、還暦祝いには赤いちゃんちゃんこや赤い頭巾など赤い衣服を羽織 り、家族から祝福を受ける光景を見かける事もあるでしょうが、実は還暦祝いにプレゼントとして贈られる赤いちゃんちゃんこには意味があり、還暦に赤い衣服 を贈るという慣習には理由があるのです。

還暦というのは十干十二支が一巡して再び誕生年の干支に戻ってくることを指すのですが、還暦のルーツは日本ではなく中国から伝えられたという説が有力であ り、奈良時代には中国から長寿を祝う慣習が伝えられ、室町時代から還暦を祝う慣習が始まったと言われています。

こういったルーツがある還暦祝いですが、その象徴とも言える赤い衣服の贈り物は、実は昔定着していた赤ちゃんの産着に関する習慣が深く関係しています。昔 は新生児死亡率が高かったため、当時は赤ちゃんが災いなく元気に育つようにという願いを込めて、厄除け・魔除けの色だと考えられていた赤い色の産着を着さ せる習慣がありました。そのため、誕生年の干支に戻る事から「赤ちゃんに還る」と考えられている還暦の際にも、「元気で長生きして欲しい」という願いを込 めて厄除け・魔除けの意味を持つ赤いちゃんちゃんこを贈る慣習が広まっていったからです。

つまり、還暦に赤いちゃんちゃんこを贈る理由は、60年で十干十二支が一巡した赤ちゃんに還る生まれ直しの年に「新たな人生の門出を祝う」「災いなく過ご しさらにご長寿を」という願いを込めて、赤ちゃんの厄除け・魔除けのための風習であった赤いちゃんちゃんこを贈るようになったからです。

また、還暦祝いに袖なし羽織のちゃんちゃんこを贈る理由については、還暦祝いが寒い正月に行われていたからだと言われています。還暦祝いは地域によって慣 習が異なり、北海道地方では88歳のお祝いである米寿に赤いちゃんちゃんこを贈る慣習があるようですし、地域ごとに長寿お祝いの仕方が変わってくるようで す。